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死に様データベース
《誅殺》 《1420年》 《11月》 《12日》 《享年不明》


応永27年(1420)11月12日朝、
京都四条富小路の土蔵(金融業者)宝泉類蔵に強盗が入り、
立て籠もった。
犯人の(入道1人)は、
「土蔵の主人と話がしたいから、連れてこい」と主張。
だが、当の主人は怖がっていかず、
間に使いを立てて、
「財宝など100貫文でも200貫文でも呉れてやるから、
 まずは出てきてくれ。」
と訴えた。

これに対して盗人は、
「もし無事に出られたとしても、
 その後ただで済むはずがない。
 蔵に火をつけて、焼身自殺してやる。」
と、頑なに拒み、
ついに、土蔵内の小袖や帷子に放火した。


騒動を聞いて、
室町幕府侍所(≒京都市中警察)の武士たちが駆けつけ、
所司代三方範忠の配下の者たちが、
土蔵の戸を打ち破って、突入した。
盗人は、
刀でバリケードを築いて、これを阻むが、
所司代の若党渋木という者が、
飛び越えて、一番に中に入った。
渋木はこめかみを斬られながらも、
盗人と取っ組み合いになり、
それを見て、同輩たちも後に続き、
手傷を負いつつ、
ついに盗人を討ち取った。

小袖等300点ばかりが焼失し、
辺りは大変な騒動になったという。


格差社会が引き起こした事件といえようか。


なお、
先陣の手柄を立てた若党渋木は、
翌16日、深手がもとで死去。
殉職。



〔参考〕
『図書寮叢刊 看聞日記 2』 (宮内庁書陵部 2004)
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