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死に様データベース
《誅殺》 《1421年》 《2月》 《17日》 《享年不明》


京都三条堀河千手堂の老僧。


応永28年(1421)2月17日、
京都三条堀河の千手堂に盗人が入り、
主の老僧を刺し殺して、堂に放火した。
堂の下に埋めておいたという、
大般若経新写のために勧進した料足3,000疋を狙った犯行という。

さっそく、
堂に寄宿していた龍山和尚に、嫌疑がかかり、
幕府の役人は、捕縛・糾問の末、犯行を白状させた。
重罪により、死刑は確実だろうとされた。


この龍山和尚、
あちこちを巡りながら、人々に法華経を講釈していた僧で、
その語りぶりが、なかなか見事であったらしく、
講釈のたびに、人々が群れ集まったという。
事件前年10月には伏見にも訪れ、
好奇心旺盛な伏見宮貞成親王も、こっそり聞きに行くほどであった。
そのためか、事件を聞いた貞成親王は、
「いくら末法の世とはいえ、
 これほどの重罪や破戒は聞いたことがない。」(『看聞日記』)
と、驚いている。


ところが、
一度は犯行を認め、投獄された龍山であったが、
翌18日になると、一転して犯行を否認、無罪を主張した。
どういった取り調べがあったか不明だが、
犯行は、弟子たちの所行ということになって、
龍山は処刑を免れ、追放と相成った。


自白の強要による冤罪か、
はたまた、
弟子へのなすりつけによる命乞いか。
どちらにしても、後味の悪い事件である。



〔参考〕
『図書寮叢刊 看聞日記 2』 (宮内庁書陵部 2004)
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